時代は変わり、他の職業と同様、看護師の世界においても転職が普通になりつつある点は良い傾向ですね。今までは何か違和感を感じても、耐えるか、あるいは辞めるかしかなかったところ、そこに「職場を変える」という選択肢が出てきたのです。貴重な人生の貴重な時間を費やすわけですから、やはり、納得ができ、やりがいが感じられ、「ありがとう」という言葉が聞ける職場で働きたいものです。
私の6つの仕事術を紹介します。 その1:今より面白くする。 その2:全員が賛成することを求めない。一番の反対者と手を組む。 その3:「わからないので教えてください」「ありがとう」 その4:成果は後から出るもの。現時点で「嫌われるか」「好かれるか」の物差しはとりあえす横に置く。 その5:もめ事があるのは健康な組織。もめ事を楽しむくらいの余裕を持つ。 その6:失敗の数=立ち直りの数 あなたもそうだなあと思ったら、あなたの仕事術に入れてみてください。 ・仕事術その1/今より面白くする まず、いつも心がけなければならないのは、「今より悪くしない。今より面白くする。」ということです。 看護師の皆さんは、「患者さんのために、もっとよい医療にしていこう。もっとよい看護をしよう。」と、つい力みがちです。 無論、看護職の倫理から言うと、「可能な限り最良の看護や医療を提供する」ことは前提なのですが、「可能な限り」という点で、つい自分や他人ヘ無理を強いてしまいがちです。 「今よりよくしよう」と思うとどんどん仕事を多くしてしまいがちですが、当然、誰でも時聞に限りがありますし人員にも限りがあります。あてどなくよくしようという思いに駆られていると、自分たちの仕事を何でもかんでも増やしたり、他人が仕事をしてい ないように見えたりするものです。 そこで、ちょっと発想を変えて、「今より悪くしない」と考えてみると、「よくしよう」と新しいことを行うことから、「これ以上、よくないことはやめる」ということに力を注ぐようになるのです。そうすると、仕事を増やすのではなく、減らすという観点で見直すことができます。 結果としてよいことを増やさなくても、よくないことを減らしていければ、患者さんにとっては幸せなことです。 実は、今まで習慣になっていたことをやめるということは、勇気のいることです。しかしそれがやめた方がいいと考えられる悪しき習慣だとしても、真っ向から否定して、今もその習慣をやむなしとしている人たちと対決する必要はありません。 悪しき習慣というのは、やむなく行ってきたことの方が多いので、いかに間違っているかを主張するより、さらっと「やめたい」と言うだけの方が受け入れられやすいでしょう。 また、すぐに変えられないとしても、つぶやきでよいので「これは変えたいな。」と日々口に出すことから始めましょう。そして、悪しき習慣を繰り返している人が悪いのではなく、その習慣が悪いだけですので、つぶやき方にも一工夫が必要です。悪しき習慣をやめるということは、次にその習慣に代わるものをつくり出さなければなりません。 新しいことに取り組むには「不安」が付きものです。前のままの方が「安心」なので、今までのやり方に固執して安心感を得たい人にとっては大変なことなのです。だからこそ、その大変なことを面白いことに変えていくのです。 「今までがよくないから、これからはいい看護をしよう」と言うとむっとする人も「今までより面白いことをしよう」「さまざまな「苦労」を面白さに変えよう」と言うのです。病棟で大変な改革をする時、改革を「正しい出来事」とするより「面白い出来事」にする方が、今までのやり方に固執していた人をその改革のプロセスで「悪者」にしたり、「能なし」にしたりと駄目人聞にすることなく、面白い出来事をつくり出す主人公にするチャンスが生まれます。 つまり、この体制を変えたいと思った人だけでなく、今までの体制を担ってきた大勢の人々が主人公になれるというわけです。 「面白い」「楽しい」ということをキーワードにするだけで、臆することがなくなるものです。「よい」とか「正しい」とかいう尺度は、ほかの人から見て本当によいのだろうか、正しいのだろうかと思ってしまいます。 一方、「悪くなければいいわ。面白いや楽しいということさえ伝われば。」とお願いすると、病棟の改革をしたいというスタッフも少し気が楽になるようです。 以前勤務していた病院で、病院機能評価を受けた2ヶ月後に、「精神科看護管理研究会」のセミナーを担当した時のことです。病院の中でさまざまなワークショップを行ったのですが、その時、どんなによいことをしているかではなく、どんなに楽しいか、面白いかということを表現してくれればいいとスタッフに頼みましたら、 「病院機能評価受審はお祭りだった。」というワークショップをやってくれました。 現場のケアワー力ーたちが、全国から来た看護部長に1年間の機能評価受審への取り組みを「お祭り」として楽しんだ様子を語るのです。どんな改革をしたかという話は日常のささやかなこことして淡々と語り、「改革の苦労」は「お祭り」として堂々と、そして楽しそうに語り、自分たちの病院に誇りを持っている姿に感心してしまいました。 改革の「主人公」は現場のスタッフたちであり、民間精神科病院の中でささやかな気づきを楽しんで、変えていってくれたのですが、「病院をよくしよう!」と気負うのではなく、楽しく仕事しよう、誇りを持って仕事しようという気持ちにさせていたのが、その病棟の主任でした。 その主任はスタッフにことあるごとに、「あなたのおかげで」「ありがとう」という言葉をかけていました。とても小さな気づきでも、「ああ、あなたのおかげで知ることができた。ありがとう。」と、現場のスタッフの「誇り」を大切にし「業務改善は面白くやろう」としていました。 正しくやろうとすると多少疲れが出ますが、面白くやろうとすれば、実際に面白くなるものなのです。 生き生きと胸を張って病棟環境を変えていったことを発表するケアワー力ーが、「病棟をよくしなければ」と肩をいからせることなく楽しめたのは、「楽しんで変えていけばいいのよ。」といつも言っていた主任の力が大きかったのは言うまでもありません。 (続く) 参考になさってください。 (福祉系大学准教授) 看護師の方が転職したい!と思ったら。 >>>最新の看護師転職・ナース転職サイト比較ランキングはこちら
私の6つの仕事術を紹介します。
その1:今より面白くする。
その2:全員が賛成することを求めない。一番の反対者と手を組む。
その3:「わからないので教えてください」「ありがとう」
その4:成果は後から出るもの。現時点で「嫌われるか」「好かれるか」の物差しはとりあえす横に置く。
その5:もめ事があるのは健康な組織。もめ事を楽しむくらいの余裕を持つ。
その6:失敗の数=立ち直りの数
あなたもそうだなあと思ったら、あなたの仕事術に入れてみてください。
・仕事術その1/今より面白くする
まず、いつも心がけなければならないのは、「今より悪くしない。今より面白くする。」ということです。
看護師の皆さんは、「患者さんのために、もっとよい医療にしていこう。もっとよい看護をしよう。」と、つい力みがちです。
無論、看護職の倫理から言うと、「可能な限り最良の看護や医療を提供する」ことは前提なのですが、「可能な限り」という点で、つい自分や他人ヘ無理を強いてしまいがちです。
「今よりよくしよう」と思うとどんどん仕事を多くしてしまいがちですが、当然、誰でも時聞に限りがありますし人員にも限りがあります。あてどなくよくしようという思いに駆られていると、自分たちの仕事を何でもかんでも増やしたり、他人が仕事をしてい ないように見えたりするものです。
そこで、ちょっと発想を変えて、「今より悪くしない」と考えてみると、「よくしよう」と新しいことを行うことから、「これ以上、よくないことはやめる」ということに力を注ぐようになるのです。そうすると、仕事を増やすのではなく、減らすという観点で見直すことができます。
結果としてよいことを増やさなくても、よくないことを減らしていければ、患者さんにとっては幸せなことです。
実は、今まで習慣になっていたことをやめるということは、勇気のいることです。しかしそれがやめた方がいいと考えられる悪しき習慣だとしても、真っ向から否定して、今もその習慣をやむなしとしている人たちと対決する必要はありません。
悪しき習慣というのは、やむなく行ってきたことの方が多いので、いかに間違っているかを主張するより、さらっと「やめたい」と言うだけの方が受け入れられやすいでしょう。
また、すぐに変えられないとしても、つぶやきでよいので「これは変えたいな。」と日々口に出すことから始めましょう。そして、悪しき習慣を繰り返している人が悪いのではなく、その習慣が悪いだけですので、つぶやき方にも一工夫が必要です。悪しき習慣をやめるということは、次にその習慣に代わるものをつくり出さなければなりません。
新しいことに取り組むには「不安」が付きものです。前のままの方が「安心」なので、今までのやり方に固執して安心感を得たい人にとっては大変なことなのです。だからこそ、その大変なことを面白いことに変えていくのです。
「今までがよくないから、これからはいい看護をしよう」と言うとむっとする人も「今までより面白いことをしよう」「さまざまな「苦労」を面白さに変えよう」と言うのです。病棟で大変な改革をする時、改革を「正しい出来事」とするより「面白い出来事」にする方が、今までのやり方に固執していた人をその改革のプロセスで「悪者」にしたり、「能なし」にしたりと駄目人聞にすることなく、面白い出来事をつくり出す主人公にするチャンスが生まれます。
つまり、この体制を変えたいと思った人だけでなく、今までの体制を担ってきた大勢の人々が主人公になれるというわけです。
「面白い」「楽しい」ということをキーワードにするだけで、臆することがなくなるものです。「よい」とか「正しい」とかいう尺度は、ほかの人から見て本当によいのだろうか、正しいのだろうかと思ってしまいます。
一方、「悪くなければいいわ。面白いや楽しいということさえ伝われば。」とお願いすると、病棟の改革をしたいというスタッフも少し気が楽になるようです。
以前勤務していた病院で、病院機能評価を受けた2ヶ月後に、「精神科看護管理研究会」のセミナーを担当した時のことです。病院の中でさまざまなワークショップを行ったのですが、その時、どんなによいことをしているかではなく、どんなに楽しいか、面白いかということを表現してくれればいいとスタッフに頼みましたら、 「病院機能評価受審はお祭りだった。」というワークショップをやってくれました。
現場のケアワー力ーたちが、全国から来た看護部長に1年間の機能評価受審への取り組みを「お祭り」として楽しんだ様子を語るのです。どんな改革をしたかという話は日常のささやかなこことして淡々と語り、「改革の苦労」は「お祭り」として堂々と、そして楽しそうに語り、自分たちの病院に誇りを持っている姿に感心してしまいました。
改革の「主人公」は現場のスタッフたちであり、民間精神科病院の中でささやかな気づきを楽しんで、変えていってくれたのですが、「病院をよくしよう!」と気負うのではなく、楽しく仕事しよう、誇りを持って仕事しようという気持ちにさせていたのが、その病棟の主任でした。
その主任はスタッフにことあるごとに、「あなたのおかげで」「ありがとう」という言葉をかけていました。とても小さな気づきでも、「ああ、あなたのおかげで知ることができた。ありがとう。」と、現場のスタッフの「誇り」を大切にし「業務改善は面白くやろう」としていました。
正しくやろうとすると多少疲れが出ますが、面白くやろうとすれば、実際に面白くなるものなのです。
生き生きと胸を張って病棟環境を変えていったことを発表するケアワー力ーが、「病棟をよくしなければ」と肩をいからせることなく楽しめたのは、「楽しんで変えていけばいいのよ。」といつも言っていた主任の力が大きかったのは言うまでもありません。
(続く)
参考になさってください。
(福祉系大学准教授)
看護師の方が転職したい!と思ったら。
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